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シルはガロル領へ入っていた。
まずはオデッサ・ガロルの屋敷に向かい、話を聞かなければならない。
「それにしても私兵を募集していると聞いてはいましたが……この数は異常ですね」
オデッサの屋敷の周辺に並ぶ天幕を見ながら、シルは半分呆れながら呟いた。
「この私兵たちは、王国に対して裏切り行為だと知っているのでしょうかね」
自分で口にした言葉に「私も人の事を言える身分ではありませんか」と苦笑いする。
そんなシルは屋敷の門を通り抜け、急いで中へと入って行った。
「誰か居ませんか?」
出迎え所か、人の気配を感じない。
上流貴族の住む屋敷ならば、常に使用人がせわしなく働いているものなのだ。
「妙ですね……。誰も居ないなんて事は有り得ないのですが……」
シルは腰にある剣に軽く触れた。
とにかく異常なのだ。
「誰も居ないなら勝手に入りますよ」
そう言ったシルは、ゆっくりと慎重に進んで行く。
まずは1階の部屋を見てまわった。
静けさだけが漂う屋敷内には、特に争った形跡も無い。
「後は上ですか……」
シルは2階へ続く階段の前で、呟いていた。
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