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長くもない階段を上がると、廊下を挟んで左右に幾つもの扉がある。
シルは手前から順番に扉を開けては中を見ていった。
「本当に誰も居ないのですか」
ここまで静かだと、不気味にさえ思えてくる。
結局、2階にも人は居なかった。
「さて……。私は迷宮に入り込んだのですかね」
3階に上がる階段。
その階段を慎重に上がって行く。
「何でしょうか?」
3階まで来たシルは、異常なまでの雰囲気に気付いた。
「この重圧は一体……」
シルは剣を抜いた。
慎重に一歩進んでは後ろを確認していく。
誰かが見ている。
知らずにシルの額からは汗が光り出していた。
「誰ですか?」
シルは声を上げた。
だが、反応は無い。
「姿を見せたらどうです?それとも私に見られたくない理由があるのですか?」
剣を手にしたシルは、ゆっくりと奥へと進んで行った。
そして---。
背後に凄まじい殺気を感じたシル。
すかさず剣を後ろへと振り抜いた。
キィーンと、金属同士がぶつかる音と共に、重たい衝撃が腕に伝わって来る。
「あなたは……」
攻撃して来た男を見たシルは両目を見開きながら驚いた。
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