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「エランですか!?」
シルはエランを押し退けるように剣を弾くと数歩下がった。
「シル殿ですか」
まさか、この場にシルが来るとは思っていなかったエランも驚いていた。
「これは失礼した。私は魔族でも現れたのかと思い、剣を向けてしまいました」
「いえ、この異常な状況なら仕方ないですよ」
2人は剣を下げると、お互いの手を握りあった。
「今ここで言うのも何ですが、フリックから報告は聞きました。その中には、あなたと戦った事も含まれています」
シルはそう言ってエランの表情を観察する。
そのエランは「間違いありません」と、簡単に認めていた。
「詳しい話は後から聞きます。まずは、オデッサ郷の居場所を教えて下さい」
「それが……」
エランの表情が曇る。
「どうしました?」
「はい、オデッサ郷ですが、行方が分かりません」
「分からない?」
シルは首を傾げる。
「確かにこの屋敷で争いがありました。その時、男が現れたのですが……」
その男と共に姿を消したとエランは説明する。
しかもアキュアに刺され、かなりの傷を負ったと言うのだ。
シルは、その話を聞いて、思わず舌打ちしていた。
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