襲撃

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ティリシアは、この魔大陸に唯一ある神殿に来ていた。 ファーレル大陸にある大地教団の神殿と同じように、最上階には始まりの鐘があった。 ただ少し違うのは、赤く輝いている事だろうか。 しかも、ファーレル大陸に見られる始まりの鐘より、遥かに大きい。 その始まりの鐘を見上げたティリシアは「また、行く事になるのね」と、ため息を吐いている。 ゆっくりと、それでいて急ぐように門を通り抜けると、女神像が出迎えてくれる。 ただ、ファーレル大陸の神殿のように男神像は建立されていない。 いつ、誰がこの神殿を建てたのかも分からない。 人が住む事の出来ない魔大陸。 その神殿の手入れをする者も存在しない為、既に廃墟と化していた。 「普通なら恐怖が先で前には進めないのだろうけど、あたしには関係ないわね」 ティリシアは軽やかに神殿の中へと入って行った。 薄暗いホールを進み、今にも崩れ落ちそうな階段を上って行く。 螺旋を描くその階段は、所々で崩れていた。 だが、ティリシアはためらう事なく進んで行く。 やがて、神殿の最上階へとティリシアは到着した。
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