1586人が本棚に入れています
本棚に追加
ティリシアは、この魔大陸に唯一ある神殿に来ていた。
ファーレル大陸にある大地教団の神殿と同じように、最上階には始まりの鐘があった。
ただ少し違うのは、赤く輝いている事だろうか。
しかも、ファーレル大陸に見られる始まりの鐘より、遥かに大きい。
その始まりの鐘を見上げたティリシアは「また、行く事になるのね」と、ため息を吐いている。
ゆっくりと、それでいて急ぐように門を通り抜けると、女神像が出迎えてくれる。
ただ、ファーレル大陸の神殿のように男神像は建立されていない。
いつ、誰がこの神殿を建てたのかも分からない。
人が住む事の出来ない魔大陸。
その神殿の手入れをする者も存在しない為、既に廃墟と化していた。
「普通なら恐怖が先で前には進めないのだろうけど、あたしには関係ないわね」
ティリシアは軽やかに神殿の中へと入って行った。
薄暗いホールを進み、今にも崩れ落ちそうな階段を上って行く。
螺旋を描くその階段は、所々で崩れていた。
だが、ティリシアはためらう事なく進んで行く。
やがて、神殿の最上階へとティリシアは到着した。
最初のコメントを投稿しよう!