襲撃

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「さて、あの男が種を蒔いたみたいだし、軽く様子を見に行きますか」 赤く輝く鐘に向かって両手を広げるティリシア。 その周囲に空気が渦巻き出し、ティリシアを取り巻いていく。 その渦は、まるで意思でもあるように始まりの鐘へと向かって行った。 「風の力を司る天使よ。あたしの意思が聞こえるのなら、今ここにその力を示せ」 その言葉と共に、凄まじい風となって始まりの鐘にぶつかりだす。 「意味のない事を言っても仕方ないわね」 天使の力が使える訳ではない。 自分の体の中に眠る魔力を少しだけ開放したのだ。 それでも何か呪文でも唱えた方がそれらしく見える。 単純にティリシアはそう思った。 「さぁ、門を開きなさいな」 薄紫の髪がゆらゆらと揺れ、そこには何時ものあどけさの残る少女の姿は無かった。 そして、小さな可愛らしい瞳は赤くなっていく。 ゴォーっと音が響く。 そして静寂---。 始まりの鐘の反対側には、ポッカリと暗い穴が開いていた。 「ふふぅーん」 ティリシアは、無邪気に笑う。 そして、その暗い穴の中へと歩を進めて行った。
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