予兆

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「ならば、答えも1つさ」 フリックはシルを見て笑う。 お互いが何を考え、何を話そうとしているのかを理解している。 だからこそ、最低限の言葉で足りてしまうのだ。 「そうですか……。残念ですが仕方ありません」 「随分、簡単に引き下がるんだな」 「誰も引き下がるとは言ってませんよ」 シルは意味深な笑みをこぼした。 「エランから報告がは入りました」 「ほぅ……エランか……」 アキュア率いる神聖騎士団の騎士隊長をしていたのがエランだった。 常に冷静な判断で味方を勝利に導く手腕は、味方のみならず敵すらも、是非欲しいと思わせる人物である。 今では王国軍を率いる将軍として、シルの下で働いていた。 「そのエランが何か重大な話でも持って来たか?」 「そうです。グラン王国は未だに安定していません。しかも、反乱の兆しが見え初めています」 「反乱?」 「現女王が気に入らない貴族達が、私兵を募っているようです」 グラン王国は広大な国の為、上流貴族に領地を与え治めている。 王国の決められた税を納めてさえいれば、王家と言えど口を出す事は出来ないのだ。
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