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フリックは精力的に動いていた。
ガロル領から共に来た兵士を呼び出し、その中の1人に命令する。
「ジュリアは俺の副官として、一軍を率いてもらう。その軍の人選は任せる」
「私に一任されると?」
「何だ不満でもあるのか?」
ジュリアを見ながら笑みを浮かべるフリックは「過去の事なら気にするな」と付け加えた。
ジュリアは本来、オデッサの配下なのだ。
アキュアを救う為にフリックと同行したが、他の者達がいい顔はしないだろう。
「心配しなくてもお前がオデッサの配下だった事を知っている者は少ない。それにだ、お前はここに居るじゃないか」
「ですが---」
「とにかく任せたぜ。俺はシオンを説得しなくてはならないからな」
フリックはそう言い残すと、さっさとその場から去って行った。
「あの人の器は大きい……。ただ強いだけでなく、人を信じて疑わない……いや、人を見抜く力があるのか……」
ジュリアはフリックの背中を見続けながら、そう呟いていた。
そして「私もそんな強さを身につけて見せよう」と心に誓っていた。
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