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フリックは王宮の一室に向かっていた。
豪華な調度品が飾られた来客用の廊下を進み、上の階へと向かって行く。
そして3階まで来たフリックは、2人の護衛が立つ扉の前に来た。
「フリック・バルモンドだ。通るぜ」
そう言って扉に手を掛けると「約状を見せて下さい」と、フリックの行く手を阻んだ。
「聞いてないのか?」
フリックは2人の護衛を睨んだ。
「しかし、この先は王族の方々しか通る事は許されておりません。フリック殿の頼みと言えど、我々の判断では……」
「そうか……ならば、シオンを連れてきてくれ」
シオンはミランの計らいで、王族の使う部屋を与えられていた。
このグラン王国の中でシオンとは、特別な存在なのだ。
「暫くお待ち下さい」
護衛の1人が奥へと消えていく。
そして、すぐに「シオン様のお部屋はこの先です」と、言いながら戻って来た。
「悪いな」
フリックは2人の視線を受けながら、奥へと進んで行った。
「入るぜ」
シオンの部屋の前に来たフリックは、扉を軽く叩くとそう言って扉を開けた。
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