襲撃

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無駄に広い部屋は、特に飾り気がある訳ではなく、思っていた以上に殺伐としている。 その部屋の窓際に四角いテーブルがあり、シオンはそこで肘を付きながら外を見ていた。 「話を聞かなかった方が良かったようだな」 フリックはシオンの向かい側に腰を下ろした。 「そうですね……まだ信じられないですよ……」 フリックが全てを語った時、エランの話がどうしても中心になっていた。 シオンの事を我が子のように見守り、剣も教えてくれた。 アキュアに絶対的な信用をしていたエランが、お互い剣を交えたなどと、信じろと言う方が無理なのだ。 「どうしてこんな事に……」 「それは本人に直接聞く事だな。俺がここに来た事も、だいたいの理由は分かっているのだろう?」 「オレも軍に入れと?」 「そうだ。お前の力が必要だ。頼めないか?」 フリックはシオンに頭を下げた。 どうしてもシオンを仲間にしたいのだ。 「頭を上げて下さいよ。フリックさんにそんな事されれば、断れないじゃないですか」 シオンは慌ててそう言った。
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