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シオンは軍に入る為にグラン王国に戻って来たわけではない。
それはフリックも理解しているだろう。
だからと言って何もしない訳にもいかない事は分かっている。
アキュアの苦しむ姿は見ていられない。
アキュアの為にも何とかしたいとも思っている。
それでもライラと過ごす時間が惜しい事に変わりはなく、シオンは黙ったまま俯いてしまった。
そんな時、2人の間にあるテーブルの上に、茶器が置かれた。
「冷めないうちにどうぞ」
「すまない---」
どこかで聞いた事のある声。
気になったフリックは、茶器から視線を移し、そして驚いた。
「ライラか!?」
真っ白なドレスに身を包み、いつものツインテールを下ろしている。
大胆に開いた胸元には、キラキラと輝く宝石が光っていた。
「あ、あまり見ないでくれると……その……助かる……」
着なれないドレスが恥ずかしいのか、ライラは真っ赤になっていた。
「いや、すまん……」
咳払いをしながらライラから視線を外すフリック。
それでも気になるのか、どうしてもライラを見てしまう。
「綺麗じゃないか」
フリックは恥ずかしそうにしているライラにそう言っていた。
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