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「そ、それは褒めているのか?」
「けなしているように聞こえたのか?」
「い、いや……」
よほど恥ずかしいのだろう。
耳の先まで赤くなったライラは、一歩下がると、くるりと向きを変えて走り去って行った。
「なる程な……シオンの気持ちは分かる。あれだけいい女になれば、手放したくはない」
「確かにフリックさんの言葉に反論はしませんけど……」
「すぐに返事をくれなくてもいい。お前の気持ちが決まった時には、すぐ連絡をしてくれ」
フリックはそう言って茶器を手に取ると、一気に飲み干した。
「ほぅ……アキュアより旨い」
フリックは満足そうに笑みを浮かべる。
「俺達は大勢の命が消える所を見てきた。これ以上、誰も傷付いて欲しくはないよな」
空になった茶器を弄びながら、フリックは独り言のように呟いた。
そんなフリックの言いたい事は分かる。
例え天使の力が無くとも、戦う事は出来る。
特にシオンの剣技はフリックも認めているのだ。
「ミランには言わなかったが、間違い無く敵はシルだ」
いつの間にか真剣な表情をしたフリックは、睨むような目つきでシオンを見ていた。
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