襲撃

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ジュリアは思う。 例え予備の部隊から1人ずつ話を聞いたとしても、実際に軍として機能するには時間が必要になる。 それに旨く指揮官を選んだとしても、いざという時に逃げられる可能性だってあるのだ。 「心配するなと俺は言ったぜ?」 「ですが……」 ジュリアは不安で仕方ないのだ。 「お前にも俺の教育が必要か?」 「はぁ……」 「いいか、俺達には時間が無い。訓練する余裕は無いのさ」 「フリック殿は誰と戦うつもりなのですか?」 「決まっているじゃないか。オデッサを始めとした上流貴族だよ」 フリックの答えは分かっていた。 アキュアを傷付けたオデッサは間違い無く許せない。 「貴族達が反乱を起こすとでも言いたいようですが、王国に対してそのような事が---」 「それがあるのさ」 ジュリアの言葉を遮るフリックは、間違い無く確信している。 それは、鋭さを増す視線を見れば分かる事だった。 「オデッサはミランが女王になった事が許せないんだよ。当然だろう……ミランは貴族では無かったんだからな」 フリックはそう言って更に視線を鋭くした。
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