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「しかし、オデッサと言えば民からも親しまれている貴族です。それが王国に反旗を翻すなどと……」
「だが、お前もその目で見たじゃないか」
確かにオデッサの変わりようにはジュリアも驚いている。
「それにだ、罪の無い人々を簡単に奴隷にするような奴だ。そんな奴が親しまれている方が俺には不思議だがな」
王国は奴隷制度を強く禁止している。
それはジュリアも良く知っていた。
その禁止されている奴隷制度をオデッサは当たり前のように行使していたのだ。
「私にも責任がありますね」
「何故だ?」
「奴隷制度を知りながら何もしなかった……」
「それは、お前が悪い訳ではない。簡単に貴族が決めた事を覆す事が出来るなら、誰も苦労しないさ」
フリックはそう言って立ち上がると「早く編成を終わらせるぜ」と言い残して部屋から出て行った。
「やはり、フリック殿の器は大きいですね」
ジュリアの覚悟はフリックと共に来た時から決まっている。
それでも試したくなるのだ。
本当に自分が仕える事が出来る男なのかと……。
「答えは初めから決まっている……か……」
呟くジュリアは、フリックの後を追うように立ち上がった。
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