襲撃

13/40
前へ
/997ページ
次へ
-- シルはエランと共にオデッサの部屋に来ていた。 「本当に誰も居ないのですか……」 シルはオデッサの屋敷を全て見て回っていた。 人気の無い屋敷は、薄気味悪さをもかもし出している。 「この規模の屋敷ならば、少なくとも数百人は使用人が居るはずです。それが一瞬にして消えるなどと……」 「実際に人の気配は感じませんからね。疑う余地はありませんよ」 シルも首を横に振る事しか出来なかった。 「もう一度エランの話を聞きましょうか」 シルはそう言いながら棚に並べられている瓶を手にした。 「何時までも王宮を留守には出来ませんからね」 手にした瓶をテーブルに置くと、透明なグラスを2つ用意する。 そして、蓋を開けたシルは中に入っている液体を注いでいった。 「流石は上流貴族ですね。いい酒を飲んでいる」 勝手に開けた瓶を手にしたシルは、エランにも飲むように促した。 「私は……」 「相変わらずですね。ですが、あなたは飲まなければいけません」 シルの言葉と同時に気質が変わっていく。 「シル殿?」 「さぁ飲むのです」 気質の変わったシルは、エランにグラスを差し出していた。
/997ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1586人が本棚に入れています
本棚に追加