予兆

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「今の制度では満足出来ない輩か……」 フリックはシルを見ながらそう呟く。 「ミランは王家の血を引く者ではありませんからね」 「しかも貴族でもない」 上流貴族にとって、確かに面白くないだろう。 納得出来る事ではあるが、それだけの理由で反乱などするだろうか……。 「面白い話をしているではないか」 2人が神妙な面立ちをしていた時、アキュアが部屋の中に入って来た。 「これはまた……」 シルはフリックと話をしていた事を一瞬にして忘れていた。 「どうした?」 「以前に増して、綺麗になりましたね」 「それは冗談か何か?」 アキュアはシルに近付きながら笑みをこぼした。 「私は冗談でそんな事言いません」 少女から大人の女性へと変わったその姿に、シルはアキュアに見とれていた。 「シル、もういいだろう」 いつまでもアキュアから視線を外そうとしないシルに、フリックは痺れを切らしたようにそう言った。 「そうでした……。本題に入りましょう」 フリックに言われたシルは、真剣な表情になっていた。
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