襲撃

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シルは地下へと進んでいた。 薄暗い階段を下りて行くと、すぐに鉄の扉が行く手を遮っている。 シルはその扉に軽く触れると、その部分が溶けていた。 「ここがフリックの言っていた牢ですね。なるほど……確かに人が居たようです」 シルは左右を確認しながら奥へと進んで行く。 そして、何も無いように見える牢の中で、シルは何かを感じ取った。 「ここですか……」 先程と同じように軽く鉄格子に触れると、ドロドロと溶けていった。 「さぁ、姿を見せなさい」 シルはそう口にした。 だが、声が反響するだけで反応は無い。 そこで手にしていた剣を振り上げたシルは、一気に振り抜いた。 「全く最近の若者は血の気が多くていかんのぉ」 老人の声が聞こえた。 「お主は人では無いようだが何用か」 「人ではない者に言われたくありませんね」 シルは再び剣を構える。 そして、躊躇する事なく振り抜いた。 「いかんのぅ」 老人はシルの攻撃を簡単に受け止めていた。 「ここに暮らす人々は何処ですか?」 「儂が知っているとでも思っておるのか」 老人はふぉっふぉっふぉっと、笑い声を上げていた。
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