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「何が可笑しいのでしょう」
シルは再び剣を構える。
今度は間合いを十分に取りながら、老人を睨み付けていた。
「お前さんの考えている事が良く分かるだけじゃよ。故に、儂に勝つ事は出来んよ」
「そんな事はやってみなければ分からないでしょう」
シルは剣を強く握り直す。
そして、一気に間合いを詰めると、老人目掛けて突き刺した。
「じゃから無理な事はせん方がいい」
そう言った老人は再び笑い声を上げた。
「久しぶりに楽しかっぞ。お前さんとは何時か会う事もあるやもしれぬな」
老人は、その言葉を最後に気配を消した。
「人では無い者ですか……」
シルは呟く。
「愛するミランの為に私は人を捨てたのです」
シルは剣を収めた。
そして、周囲を伺っていく。
「さて、屋敷内の気配が変わりましたね。これで、私の目的も達成する事が出来るでしょう」
牢から出たシルは、再びオデッサの部屋へと向かって行った。
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