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シオンは王宮のバルコニーに来ていた。
広く設けられた花壇には、色とりどりの花が咲いている。
「また争いが始まろうとしているんだ……」
シオンの心は苦しい。
もう争いはしたくない。
その気持ちはシオンだけではないだろう。
「後戻りは出来ない……そう感じたから帰って来た……そうなのだろう?」
「ライラ?」
「私も本来は騎士だ。アキュア将軍の部下ではないが、元々は十二神将の副官だからな。争いが始まれば覚悟は出来ている」
ライラはシオンに近寄りながら、寂しそうに言った。
「本当は一緒に戦いたい……けど、シオンに争いは関係ない」
ライラの本音だった。
「オレの気持ちは変わってないよ。でも、戦う力があるなら……」
シオンは自分の手を見つめた。
その手をライラが優しく握ると「私はシオンが好きだ。だから……」
「ライラ……?」
2人の唇が重なり合っていた。
「こ、こんな事無いんだからな」
ライラの顔は真っ赤になっている。
その顔を見ながら、シオンは自分の気持ちを口にした事が無い事に気付いた。
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