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「フリック殿!?」
これには流石に男が声を荒げた。
とてもではないが信じられないのだ。
「ジュリアは黙ってろ。俺はアキュアのような女を出したくないだけなんだよ」
片手を上げてジュリアを制したフリックは、ライラから視線を外そうとしない。
「どうした?覚悟を見せろと言っているんだよ」
「フリックさん……間違ってますよ」
ようやく言葉を発したシオンは、殺気がこもっている。
腰にある剣に軽く触れ、いつでも抜ける体制に入っていた。
「俺に剣を抜くか?」
フリックも殺気を放ち出す。
お互いが睨み合い、間合いを詰めていった。
「そこまでにしろ……」
ライラがゆっくりと2人の間に割って入って来た。
「こ、ここで脱げばいいんだな」
「ライラ?」
「シオン、私はお前が好きだ。この体がどうなろうと、その気持ちだけは変わらない」
そう言ったライラの瞳からは、涙が落ち始める。
そして上着の留め金を外すと、ライラはゆっくりと脱ぎ始めた。
「ミラン女王、止めなくても宜しいのですか?」
その時、ミランと共に見ていた使用人は、そう言いながら視線を外していた。
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