襲撃

24/40
前へ
/997ページ
次へ
「変わる一歩ですか?」 「そうです。その為の試練です」 ミランは再びライラの様子を見る。 震える手つきで上着を脱ぎ、ドレスの背中側にある紐をほどき初めていた。 肩がずり落ち、白い肌が見えている。 「この王国は……いえ、この大陸に王族など必要ありません。人々がそれぞれの考えで国を支える者を選べばいいのです。そんな国が本当に作れるのであれば、私が最後の王として全ての罪を背負いましょう」 ミランがグラン王国の女王になった時、自らが決意していた事だった。 だが、力の無いミランの道のりは険しい。 理想を現実のものにするには、あまりにも非力なのだ。 そんなミランに届いた報告がガロル領が私兵を集めている事だった。 しかも奴隷制度が行われている事も発覚している。 ミランにとって好機とも言えた。 「女王の覚悟は分かりました。しかし、だからと言って---」 「私は言いましたよ。これは試練なのです。貴族と戦うだけの力はありません。正面からの戦いになった時、兵が逃げ出すような事があってはならないのです」 だからこそ、指揮官になる者の覚悟が見たかった。
/997ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1586人が本棚に入れています
本棚に追加