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真っ黒な鎧に身を包んだ不気味な部隊が、デルララに近付いていた。
まだ、デルララの城壁は見る事は出来ない。
それでも数時間もすれば、見張りに気付かれるだろう。
「ここで少し休みましょう」
先頭を行く騎士らしい男が片手を上げて行軍を停止させる。
その合図を見た各小隊長たちが、次々と「全軍停止!」と叫んでいた。
「寄せ集めにしては、よく統率出来ていますね」
指揮官らしい男は満足そうに微笑んでいた。
長い髪を風になびかせ、長剣を背負っている。
今にも地面に当たりそうな程に長いのだ。
その長剣の留め金を外すと、男はそのまま腰を下ろした。
「シル殿、デルララに向かう使者を連れて来ました」
「エランですか。ご苦労様です。では早速ですが、この書簡をミラン女王に届けて下さい」
シルは使者にその書簡を渡した。
「では、直ちに行ってまいります」
「頼みます」
使者に選ばれた男は、シルに向かって敬礼すると、早馬に乗ってデルララへと向かって行った。
「シル殿、本当に宜しいのですね?」
使者を見送るシルにエランはそう口にした。
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