襲撃

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ガロル領で会ったシルとは違い、明らかに異質だった。 穏やかな口調に変わりはないが、髪が伸び、どこから持ち出したのか、長剣を従えている。 しかも、異常なまでの冷たい気質は、エランでさえ畏怖を覚えていた。 「いいとは何でしょう?」 シルはエランを見つめている。 その視線にエランは冷たい汗が流れた。 「ミラン女王は奥方です。その女王が治める国で争いを起こすとなれば、悲しむのではありませんか?」 「その事ですか。何も問題はありませんよ。私はミランの全てを知り尽くし理解しているのです。彼女の思いを削ぐような事はしていません」 シルの言っている意味が分からないエランは、曖昧な返事を返した。 そんなエランを見たシルは「分かりませんか?」とため息を吐く。 「オデッサは貴族ではないミランが女王になる事が面白く無かった。それはオデッサだけでなく、上流貴族なら誰もが思っている事でしょう。その貴族達にオデッサが声を掛けた……私兵を集めてデルララを落とそうとね」 そこで一度言葉を区切ると、シルは近くで休んでいた兵に飲み物を持って来るように言った。
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