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「不満があるようですね」
シルは長剣を片手に持つと、ゆっくりと立ち上がった。
「シル殿は間違っている事に気付くべきです」
立ち上がったシルを睨むエラン。
そのエランの視線を軽く受け流すシルは「流石はエランです。ですが、あなたは私に逆らう事は出来ない」と言った。
「私はシル殿に忠誠を誓っている訳ではありません。それは理解されていると思っていましたが……」
エランは剣を抜いた。
そして剣先をシルに向けると、一歩前に歩み出る。
「それがエランの回答ですか。いいでしょう。デルララへ向かった使者が戻るまでには少し時間があります。私に逆らえない事を思い知る時間を与えますよ」
シルはそう言ってエランの剣先を指で挟んだ。
「動かない……?」
エランの剣はピクリとも動かない。
そんなエランの一瞬の戸惑いが隙を生んだ。
シルは右手をエランに向け、踏み込んでいく。
そして、エランの体に触れる瞬間、シルは気合いを入れた。
「ぐふっ---!?」
腹部に走る衝撃は、エランを後ろへと吹き飛ばしていく。
意識が飛ばされそうになるエランは、体の中の異変に気が付いた。
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