襲撃

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王宮内からは女たちの悲鳴が上がった。 あまりにも迫力あるフリックは、本気で使者の首を跳ねると思わせたのだ。 「正式な使者に対し、このような振る舞いをされる事が王国のやり方ですか?」 フリックに臆する事なく鋭い視線で睨む使者。 その使者に対してフリックが突き飛ばすと、鼻先に剣を突き付けた。 「シルが攻めて来るなら別にいいぜ?ただ、貴様はここで終わりだがな」 剣を強く握りしめるフリック。 だが「フリック、そこまでにして下さい」と、ミランが弱い声を上げた。 「この王宮で血を流す事は許しません。それより、軍の編成はどうなっていますか?」 ミランはクシャクシャになったシルの書簡を広げると、そこには女王としての顔があった。 「編成は少し時間が掛かるな。その書簡に書かれている夜明けまでには間に合わない」 「そうですか……」 「編成はジュリアに任せている。俺は王宮警備隊を召集する」 フリックは使者から離れながらそう言った。 「分かりました。その前にシオンとライラを呼んで下さい。あの2人にも力を貸して貰います」 ミランはそう言って再び書簡へと視線を移した。
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