予兆

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-- グラン王国。 王都デルララを中心としたファーレル大陸最大の王国である。 今より2年前までは、三大軍事国家の1つとして数えられてきたが、今では農業を中心に栄えている。 ファーレル大陸の中でも温暖な気候に恵まれている為、農作物が豊富に採れるのだ。 だが、一見して穏やかに見えるこの王国も、不穏な動きが見え隠れし始めていた。 それは、グラン王国の西側にある最大の領地、上流貴族の1人オデッサ・ガロルが治めるガロル領で、私兵を募集しているとの噂だった。 一介の秘書官だったミランが女王に即位した事により異を唱えるもので、これに賛同する者が後を絶たない。 エラン将軍が軍務卿であるシルに報告した内容は、その事だった。 「頭が痛いですね……」 自室に戻ったシルは、額に手を充てながらそう呟く。 「上流貴族は、何でも自分達の思い通りにならなければ気が済まないのでしょうが……それより、本当にそれだけの理由で私兵を集めるでしょうか」 オデッサ・ガロルとは面識が無い。 それでも、少しでも税を軽くしたりする民思いのある貴族だと噂に聞いた事があった。
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