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「あなたは黙っていて下さい」
そんな男にミランが言うと「しかし女王……」と、何か言いたげだったが、渋々と後ろに下がっていった。
「話し方を私は気にしません。それよりあなた達2人には頼みがあります」
「頼み?」
「そうです。まずは、この書簡を読んで下さい」
クシャクシャになった書簡をライラが受け取った。
そのライラの顔が青ざめていく。
「ライラ?」
字を読む事の出来ないシオンは、ライラの反応がよく分からない。
ただ、悪い事が書いてあるだろう事は理解出来る。
「そんな……」
「だから、何て書いてあるの?」
シオンは、ライラの手にある書簡を強引に手にすると、そこに書かれている文字に視線を移した。
「……」
やはり、何が書いてあるのか分からない。
シオンは考え込むような仕草をしているライラを見た。
「シルが貴族の私兵を引き連れて、このデルララに向かって進軍しています。しかも、日の出までにデルララを明け渡すように書かれています」
黙ってしまったライラに変わり、ミランが重たい口を開いた。
そのミランの言葉に、シオンは何も言えなくなった。
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