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「もし明け渡さない場合、デルララを攻撃する……」
ミランの言葉を受け取り、ライラがそう言った。
「攻撃……?」
シオンは何を言っているのか分からない。
そんな表情をしながら首を傾げている。
何故、シルがデルララを攻撃する必要があるのか。
あの戦いを乗り越え、2人は結ばれたのではなかったのか……。
シオンは、訳が分からない。
だが、ライラは冷静だった。
初めは驚きもしたが、気持ちの切り替えは早い。
「なるほど……。デルララを明け渡す事は出来ない。しかも戦いになった時、迎え撃つ軍が存在しない……か……」
「迎え撃つって……シルさんと戦うって事だよ?」
「そうだ。それが何か?」
「ライラは本気で言ってるの?」
シオンの表情は暗い。
だが、ライラは関係なく「向こうはその気なんだ。最悪の事まで考えなければならない」と言った。
「そんな……ミランさんはそれで---」
シオンは、それでいいのかと聞く事は出来なかった。
一番悲しい思いをしているのはミランなのだ。
そのミランは人々を守る義務がある。
シオンは口を固く閉じると、ただミランを見つめた。
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