1586人が本棚に入れています
本棚に追加
「私はデルララの人々を……いえ、王国の人々を守らなければなりません。例え愛する者が敵になったとしてもです」
「ミランさん……」
シオンはそれでも納得出来ない。
愛する者同士が争うなどと、許される筈もないのだ。
だが、シオンを見るミランの顔は、覚悟に満ちていた。
「もう一度2人に聞きます。力を貸してもらえますか?」
「オレは反対です。どんな理由があるのか分からない。でも、血を流す事で解決するなんて間違ってますよ」
シオンはミランを見つめた。
そのミランの瞳には、涙がうっすらと見える。
覚悟があると言っても、やはり辛いのだ。
「相変わらずシオンは甘いですね」
「---っ!!?」
その時、廊下の方から聞き慣れた声がした。
「ま、まさか……」
「シル……さん……」
言葉を詰まらせながら入り口へ視線を移すミランとシオン。
少し遅れてライラが振り返った。
返り血を浴びたのか、体の所々が赤くなっている。
「ミランが明け渡すとは思えないのでね。予定より早く来ましたよ」
シルはそう言いながら部屋の中に進んで来た。
最初のコメントを投稿しよう!