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そんなシルの表情は、あの穏やかだった頃の面影が見えない。
まるで別人のように感じるのだ。
「本当にシルなのですか?」
ミランがシルに近付こうとする。
明らかに見た目も違うシルに、驚きと戸惑いがあった。
「そうです。少し色々ありまして見た目が変わってしまいましたが、シル・メイアですよ」
そう言いながら怪しい笑みを口元に浮かべた。
「さて、書簡の返事を聞きましょうか。まぁ、予測は出来ますけどね」
シルは背中にある長剣を抜いた。
「この剣の切れ味は試して無いのです。誰が初めの餌食になりますか?」
シルは部屋の中に居る者達を見渡していく。
そんなシルを見た使用人たちは悲鳴を上げながら部屋の隅に固まって行った。
「ミラン、下がっていろ」
ライラも剣を抜いた。
「あなたが私の相手を?」
シルは笑う。
そして「これが返事と受け取らせて貰います」と言いながら、シルは長剣をライラに向けた。
「剣が長いからと、有利になると思わない事だ」
ライラは剣を握り直すと、シルに向かって踏み込んで行く。
下から上へと剣を振り抜き、そこから連続して攻撃を繰り出していった。
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