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アキュア程ではないが、ライラの動きは早い。
女ならではのスピードを生かした攻撃だった。
だが、そんな連続攻撃も、シルは軽々と受け流していく。
自分の腕のように操る長剣は、まるで意思のある生き物のようでさえあった。
「流石は副官をしていただけの事はありますね。ですが、あなたでは私に勝つ事は無理です」
シルはライラの攻撃を受け流しながら、余裕の笑みをこぼしていた。
そして……。
「ようやく、仲間が動き出しましたか」
シルは戦いながら窓の外を見ていた。
そこからは、黒い煙りが上がり初めている。
「そ、そんな……」
ミランは口元を抑えた。
窓から見える景色はいつもの街並みではなく、火の手が上がっていた。
「シル……」
ミランの体が震え出す。
力が抜け、視界がグルグルと回り始めていた。
「デルララは私が頂きます。戦いの無い平和な世界に私がしますよ」
シルはそう言って笑った。
「狂ってる……」
シオンはミランの肩に手を当てながら体を支えていた。
そのシオンは外の景色を見て、怒りが湧き上がって来るのを感じていた。
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