王都炎上

2/39
前へ
/997ページ
次へ
夜空を焦がすように照らす炎。 普段は始まりの鐘が照らす淡い輝きが美しいこの王都も、今は炎に包まれていた。 「火を消せーっ!」 そんな声が、そこら中から聞こえて来る。 だが、誰かが火を放っているのか、炎の勢いは広がるばかりだった。 軍を編成していたフリックは、初めは火事だと思った。 だが、街の様子が違う事に気付くと「シルか!?」と毒づく。 何故、もっと早くに気付かなかったのか。 もし自分がシルと同じ立場なら……。 「くそっ!」 フリックは走り出した。 「フリック殿!?」 「ここはジュリアに任せるぜ。俺は王宮へ行く」 逃げ惑う人々と、燃えさかる炎を消そうとする人々。 静かだった街は、瞬く間に大混乱になっていた。 「敵はどこから来ているんだ」 敵兵の姿が見当たらない。 それでも広がる炎を見れば、誰かが火を着けている筈なのだ。 だが、王宮に来るまでの間に敵らしい姿を見つける事は出来なかった。 そして---。 「何だこれは……?」 王宮で暮らす人々や警備をする者。 様々な者達が何者かに斬り倒されていた。
/997ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1586人が本棚に入れています
本棚に追加