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「これだけの数を相手にして、誰も気付かなかったと?」
フリックは疑問を感じた。
倒れている者の顔を見れば、その時の状況はそれなりに分かる。
明らかに恐怖し、叫び声を上げている筈なのだ。
「ミランは……」
フリックは急いで王宮の中へと進んで行った。
人の気配は感じられない。
「どうなっている……」
腰の剣を抜き、いつでも攻撃出来るようにと神経を集中させていくフリック。
「上か!?」
気配が動く。
フリックは急いで上へと通じる階段へ向かって行った。
「ダメですよぉ」
その時、少女の声がフリックに届く。
何とも言えない感覚が突き刺さり、フリックは危険だと察知した。
「場違いな声だな……誰だ?」
フリックは目だけを動かし辺りを見渡す。
耳を研ぎ澄ませ、全神経を集中した。
「あたしからは見えるけど、あなたからは見えないわね」
何かを楽しむようなその声に、額からは汗が噴き出していた。
ポタポタと床に汗が落ちていく。
「女か!?」
「女の子よ」
そう言って謎の声は笑い声を上げた。
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