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「その女の子が俺に直接語りかけて来る理由は何だ?」
「今、面白い所なのよ。あなたが行ってしまってはつまらないじゃない」
「ほぅ……お前は上で何が起きているのか分かると言いたそうに聞こえるが?」
姿の見えない謎の声に、フリックはワザと挑発した。
とにかく、姿を現してもらわなければ手を出す所か、先に進む事が出来ないのだ。
「あなたから姿は見えないわよ。まぁ当然ね」
フリックは苛立ちを感じ初めていた。
この声を無視して進む事は出来る。
だが、無視した事によって何が起こるのか分からない。
姿を見せずに声を掛けて来るような相手なのだ。
そんな事の出来る者達といえば、魔族しか居ない。
「俺をここで足止めして、お前に何か得があるのか?」
「だから言ったでしょ?今、面白い所なのよ。あなたが行ってしまっては、面白みも半減しちゃうじゃない」
「そうか……それなら仕方ないな」
フリックはそう言いながら大きく息を吸った。
呼吸を整え、階段を見つめる。
そして、謎の声を振り切るように、フリックは一気に走り出した。
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