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「そろそろ息も上がって来ましたか?」
両肩を上下させながら息をするライラに、シルは冷たい視線を送る。
そんなライラも怯む事なく、何度目かの攻撃を開始した。
「この程度の事で私の動きが鈍くなると思うな!」
ライラは両手でしっかりと剣を握り、シルに向かって突き刺していく。
それほど広くない部屋での戦闘は、ライラの神経をすり減らしていた。
ミランに当たってはいけないのだ。
「はぁぁぁっ!」
シューっと、空気を裂く音を立てた剣は、シルの長剣に弾かれていく。
何度も同じ事を繰り返し、攻撃も単調になっていたのだ。
「やはり疲れが出始めていますね」
シルは下から長剣を振り上げていく。
ライラの放つ剣の真ん中辺りを捉え、再び弾き返していた。
「ライラ!」
シオンは声を上げた。
ここはライラではなく、自分が行かなければいけない場面なのだ。
そんな事は分かっている。
それでもシオンの体は動かなかった。
「シオンは早く連れて行け。私も長くは保たないぞ」
「そんな事言われて、オレが逃げるとでも思ってるの?」
シオンはミランから離れると、ついに腰の剣を抜いた。
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