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「シオン?」
剣を抜いたシオンを見るミランは両目を見開いた。
「ミランさんは下がっていて下さい。ライラも下がって」
「シオン?」
「ここからはオレが相手をする」
ライラとシルの間に入って来たシオンは、剣をしっかりと握っている。
「シオン君ですか……いいでしょう。相手に不足はありません」
シルはシオンに長剣を構えると、間をおかずに間合いを詰めた。
上から振り下ろされたその長剣は、シオンに真っ直ぐ向かっていく。
その攻撃を落ち着いて受け流すと、シオンは自分の間合いに持ち込む為に、そこから踏み込んだ。
「あなたは間違っている!」
シオンは左から右へと剣を振り抜く。
僅かに届かなかった剣先は、虚しく空を斬った。
だが、右へ流した剣を、そのまま右下へと移動させると、真上に向かって振り上げていく。
まだ、届かない---。
シオンは更に踏み込むと、そこから連続攻撃を繰り出し始めた。
ヒュンッと風を斬る音が響く。
「なる程……いい腕をしています」
防戦的になり始めていたシルは、シオンの間合いを読み取るように、少しずつ後退していた。
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