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デルララの街は凄まじい勢いで、夜空を赤く染めていった。
誰が火を放っているのか分からない。
ただ、炎の勢いはデルララ中に広がりを見せている。
ようやくジュリアが一部の部隊を編成し終わった時には、もはや手の打ちようが無くなっていた。
「これではデルララが……」
ジュリアは嘆く。
だが、広がりを見せる炎は待ってはくれない。
「隊長……早く命令をして下さい」
小隊長の1人がジュリアに近寄って行く。
年齢はまだ10代後半だろうか。
凛とした顔立ちに鋭い視線をみせるその男は、冷酷にも見えるが、かなりの美男子である。
「隊長!?」
男は返事をしないジュリアに、耳元で声を荒げた。
「あぁすまない……。各小隊は小隊長の指示に従いながらデルララの民の非難を。今更、この炎を消す事は無理です」
「分かりました。では、小隊の判断で動きます」
男は敬礼をすると、自分を待つ部隊へ向き直った。
「これより我が小隊は民の救出へ向かう。勝手な行動はするな!以上、行くぞ!」
男が率いる部隊が前進を開始した。
それに合わせるように、残りの部隊も小隊長の号令と共に街の中へと進んで行った。
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