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ジュリアは街中へと消えていく部隊を見つめていた。
こんな少数の部隊で、何人の民を救えるのか分からない。
もしかしたら、火を着けて回っている敵に出会うかもしれない。
そうなれば、少なからず自軍にも被害が出るだろう。
「この少数の部隊で敵を倒せるのであればいいが……」
ジュリアはそう呟いていた。
そしてその時、城壁の辺りから煙が上がった。
「何だ?」
ジュリアは急いで城壁へ向かおうとした。
「報告します!」
伝令がジュリアに敬礼した。
「敵と思われる部隊がデルララ周辺に確認されました」
「つまり本隊が動き出したと言う事か?」
伝令がここまで来るまでに少しの時間が掛かる。
その時間の間に敵が攻撃を開始したのだろう。
だが---。
ジュリアは思った。
何故、今まで敵に気付かなかったのか。
「まさか見落としていた?」
そんな事が頭をよぎった。
だが、それも有り得ないのだ。
城壁には警備兵が必ず居る。
気付かない筈が無いのだ。
「まさか……」
ジュリアは伝令に来た兵士に「デルララから一番近い王国軍に救援要請をして下さい」と言った。
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