予兆

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「オデッサ卿は、民思いな男と聞いています。ミランが女王となった事が原因で私兵を集めているとは思えません」 「なるほど……確かに軍務卿が言われる通りかもしれません。分かりました。直ぐに偵察隊を編成します」 エランは再び王国式の敬礼をすると、シルの部屋から出て行った。 「真面目過ぎるのも問題ですかね」 エランが出て行った扉を見つめたまま、シルは呟いた。 将軍になってからのエランは、休む間も無く働いていた。 文句を言う訳でもなく、淡々と任務をこなしていくのだ。 「今回の偵察が終わった後、少し休みを取らせましょう」 シルは呟きながら両手を叩く。 「お呼びでしょうか」 「すまないが、グラスを持って来てくれないか」 「失礼ながら、最近のシル様はお酒を飲まれる量が多いように思いますが……」 侍女は頭を下げながら、申し訳なさそうに言った。 「お身体を大切にして下さいませ」 「そうか……さすがに私も疲れているようです」 あっさりと認めたシルは「今日は休んで下さい」と侍女に言った。
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