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外が妙に騒がしい。
耳障りなざわつきが、アキュアの深い眠りを目覚めさせた。
「一体何事だ……」
重たい体をゆっくりと寝台から起こす。
思考がうまく回らない。
すっきりしない頭を左右に振ると、シーツを体に巻き付けて立ち上がった。
「ウ……ン」
シーツが触れるだけで全身が敏感に反応してしまう。
すぐに体の力が抜け、暑い吐息がアキュアの口から漏れた。
「くそっ……」
四つん這いになったアキュアは、自分に苛立ちを感じてしまう。
「こんな事では歩く事も出来ないではないか」
自分の意思とは関係なく反応する体。
それでも外の様子を見ようと、アキュアは立ち上がった。
「な、なんだこれは……」
アキュアは外を見て言葉を失う。
そしてその時、自分の体の事は忘れていた。
「何故だ……何が起きている!?」
夜空を焦がす炎。
その勢いは凄まじく、大地教団の神殿にも迫っていた。
「誰か居ないのか!?」
アキュアは叫ぶ。
こんな所で黙って寝ている訳にはいかない。
だが、そんなアキュアの気持ちとは裏腹に、誰も返事をする者は居なかった。
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