王都炎上

14/39
前へ
/997ページ
次へ
-- 外が妙に騒がしい。 耳障りなざわつきが、アキュアの深い眠りを目覚めさせた。 「一体何事だ……」 重たい体をゆっくりと寝台から起こす。 思考がうまく回らない。 すっきりしない頭を左右に振ると、シーツを体に巻き付けて立ち上がった。 「ウ……ン」 シーツが触れるだけで全身が敏感に反応してしまう。 すぐに体の力が抜け、暑い吐息がアキュアの口から漏れた。 「くそっ……」 四つん這いになったアキュアは、自分に苛立ちを感じてしまう。 「こんな事では歩く事も出来ないではないか」 自分の意思とは関係なく反応する体。 それでも外の様子を見ようと、アキュアは立ち上がった。 「な、なんだこれは……」 アキュアは外を見て言葉を失う。 そしてその時、自分の体の事は忘れていた。 「何故だ……何が起きている!?」 夜空を焦がす炎。 その勢いは凄まじく、大地教団の神殿にも迫っていた。 「誰か居ないのか!?」 アキュアは叫ぶ。 こんな所で黙って寝ている訳にはいかない。 だが、そんなアキュアの気持ちとは裏腹に、誰も返事をする者は居なかった。
/997ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1586人が本棚に入れています
本棚に追加