王都炎上

16/39
前へ
/997ページ
次へ
「戦う意思の無い者が何故、武器を構えるのだ?」 「そ、それは……」 少女は自分が武器を構えている事に、ようやく気付く。 恐らく、訓練を積んだが故の条件反射なのだろう。 少女に殺気が無い事に気付いていたアキュアは、ため息を吐きながら短剣を取り上げていた。 「さて、お前には聞きたい事が幾つかある」 取り上げた短剣を弄びながら、アキュアは幾つもの質問をした。 「まず、名前を教えてもらおう」 「あたしは……リリィー」 「そうか、いい名だ。ではリリィー、ここに人が居ないのは何故だ?そして、デルララで何が起きている?」 「ここの人達は神殿の大ホールに集まっています。貴族の私兵が攻めて来たと言っていましたが、詳しい事は分かりません」 「そうか……では、リリィーは何をしていた?」 「あたしは、その……神官様に頼まれて見回りをしていました」 リリィーはアキュアに今までの出来事を簡単に説明していった。 ただ、リリィーも戦う為ではなく、心の傷を癒やす為に大地教団に来ている。 その為、誰が攻めて来たのかなどの詳しい事は、良く分かっていなかった。
/997ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1586人が本棚に入れています
本棚に追加