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「最後に1つ聞かせてくれるか?」
だいたいの話を聞いたアキュアは、リリィーの返事を待たず「リリィーの意思で私とフリックを襲った訳ではないのだな?」と、言った。
その言葉にコクリと頷くリリィー。
「いいだろう。武器は返す。その代わり、私の力になれ」
アキュアの言葉に、リリィーは「えっ?」と、間抜けな声を出してしまった。
「まずは身に着ける衣類が欲しいな」
リリィーの気持ちを考える事もなく、アキュアは照れながらそう言った。
「着る物ですね」
「そうだ。流石に、こんな姿では恥ずかしい」
リリィーはなる程と納得する。
たかだか薄い布切れ1枚を身にまとっているだけなのだ。
踊り子ならば問題は無いのかもしれない。
だが、アキュアは騎士なのだ。
人前に姿を現すには、あまりにも視線を集めすぎるだろう。
だがそうは言っても、ここは怪我や病気を治療する施設で、着る物があるとは思えない。
リリィーは少し考える素振りを見せていた。
「そうだ、あれなら……」
リリィーは少しして両手をポンっと叩く。
「こっちです」
何かを思いついたリリィーは、適当な部屋を見付けて中へと入って行った。
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