王都炎上

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「あの魔石を吸い込むと、初めは体が敏感に反応します。それを過ぎると……」 リリィーは頬を赤らめながら、更に言葉を続けた。 「その快感が再び欲しくなるのです。皆がそうとは限りません。でも、あたしはそうでした。しかも魔石の粉に侵された体は、異常な程に敏感になる……」 リリィーはそれ以上言えなくなる。 だが、アキュアはリリィーが何を言おうとしていたのか分かった。 つまり、再び魔石を求めてしまうのだ。 そして、限界を超えた体は破壊されていく。 「で、その薬を飲むとどうなるのだ?」 「はい、症状は軽くなります。その代わり手放せなくなる……」 「手放せなくなると不都合が?」 「魔石は本来、命の力を使用します。つまり、死期が早まると思います」 「なる程な……。個人差はあるかもしれないが、戦いが終わるまでなら生きていられそうだ」 アキュアはリリィーから受け取った魔石の粉を迷う事なく飲み込んだ。 体に浸透していくのが分かる。 それと同時に、体がとてもだるくなっていた。 「それでも今までよりマシだな」 アキュアは額に汗を浮かべながら、口元に笑みを浮かべていた。
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