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シルは思うようなダメージを与える事が出来ないシオンに、苛立ちを感じ始めていた。
確かに2年前のシオンは、天使と契約していた。
その天使の力を持って、この大陸を救った事は事実だ。
だが、それはシオン1人の力だけではない。
色んな仲間の力が1つになって巨大な敵を倒したのだ。
それなのに、今のシオンは何だ?
天使の力がある訳ではない。
仲間が近くに居る訳でもない。
そのシオンに、苦戦する自分は一体何なのかと思ってしまう。
決して弱くは無いシル。
その上を行くシオンは、実力も本物なのかもしれない。
「シオン君は、何故そこまでして私と戦うのですか」
シオンから少し距離を取ると、静かに息を吸った。
「シルさんは間違っていると、オレは何度も言ってますよ。だってそうでしょう?こんな事をして喜ぶ人は居ない」
シオンもそう言いながら呼吸を整えていく。
「私の何が間違っていると?」
シルは長剣を両手でしっかり握ると、一歩前に出た。
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