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速い---。
先程までのシルの動きとは、まるで違う。
何か力を使っているように思ったが、シルを見る限りそうは見えない。
「---くっ」
シオンは防戦一方になっていく。
狭い部屋の中では動きに限界が出る。
だが、今のシルには部屋の広さは気にならないらしい。
「シオン君は私を本気にさせてしまったようです」
段々とシルの放つ剣さばきが見えなくなり始め、剣先がシオンに当たり始めた。
「くっ……」
シオンの足がふらつく。
その一瞬の隙を見たシルは、それを好機とシオンに突っ込んで行った。
「私はシオン君に恨みはありません。ですが、剣を向ける者に容赦する事はしません」
シルの長剣がシオンに向かっていく。
その剣をギリギリの所で受け止めたシオンは、そのまま後ろへと吹き飛ばされた。
ガシャーンっと、シオンの背中で部屋にある調度品が砕けていく。
「今の攻撃を受け止めますか」
シルは「流石ですね」と言いながら、長剣を収めた。
「どうです?右腕として私に付きませんか?」
「な、なにを言っている……」
背中を強打したシオンは、意識が薄れていった。
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