王都炎上

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「人間ってホント愚かね。あたしの国にも古の力で生きている人間が居るけど、結局は争う事しか考えていない……」 「古の力?」 フリックとシルの言葉が重なる。 聞き慣れないその言葉に、2人はお互いの顔を見合っていた。 「まぁあたしには関係ないわ。どうせ人間は滅びる運命なのよ」 謎の声は、そこで途絶えた。 部屋の中には静けさだけが漂っている。 「今の声は魔族でしょうか……」 「直接頭の中に響いて来たからな。こんな事が出来るのは魔族くらいだろう」 「そうですか……。つまり、魔族が動き出したと思っていいのですね」 シルは背中の長剣に手を掛けると、ゆっくりと鞘から引き抜いた。 「ならば、余計に時間がありません」 「お前はまだそんな事を言うのか」 「当然です。私はこの大陸の覇者になるのですよ?」 シルは無防備だったフリックに向かって斬り掛かった。 「俺はシルが魔族と繋がりがあると睨んでいたが、違ったか?」 シルの攻撃をギリギリの所で避けたフリックは、そう言いながら自分の剣を探す。 「フリックが知る必要はありませんね」 シルの攻撃は、段々と激しさを増していった。
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