王都炎上

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「退却って……」 「外を見ろよ」 フリックに言われ外を見るシオン。 そこには赤い炎に包まれたデルララの姿があった。 「これは……」 「分かったなら行くぜ」 フリックはシルの隙を見て窓から飛び降りていく。 「シオン君も行きなさい。私は追い掛けるような事はしません」 シルはそう言って構えていた長剣を収めた。 「シルさん……本当に……」 シオンは何も言えなかった。 ただ、これからは間違い無く戦いになる。 それだけは理解していた。 「次に会う時は容赦しません」 シルはそう言って右手をシオンに向ける。 「オレが必ず止めてみせます」 シオンは、フリックが飛び降りた窓に足を掛けると、体を前に出した。 そして、一度深呼吸したシオンは、フリックと同じように外へと飛び降りていった。 「これでいいのです。これしか方法がありませんからね」 シオンの背中を見つめるシルは、ただ呟いていた。
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