1586人が本棚に入れています
本棚に追加
「退却って……」
「外を見ろよ」
フリックに言われ外を見るシオン。
そこには赤い炎に包まれたデルララの姿があった。
「これは……」
「分かったなら行くぜ」
フリックはシルの隙を見て窓から飛び降りていく。
「シオン君も行きなさい。私は追い掛けるような事はしません」
シルはそう言って構えていた長剣を収めた。
「シルさん……本当に……」
シオンは何も言えなかった。
ただ、これからは間違い無く戦いになる。
それだけは理解していた。
「次に会う時は容赦しません」
シルはそう言って右手をシオンに向ける。
「オレが必ず止めてみせます」
シオンは、フリックが飛び降りた窓に足を掛けると、体を前に出した。
そして、一度深呼吸したシオンは、フリックと同じように外へと飛び降りていった。
「これでいいのです。これしか方法がありませんからね」
シオンの背中を見つめるシルは、ただ呟いていた。
最初のコメントを投稿しよう!