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「私達も行きましょう」
ライラは先頭に立って進み出した。
人影は無い。
ここまで来ると、まだ火の手も上がっておらず、とても静かだった。
「人の気配もありませんね。もう非難したのかもしれない」
ライラは呟く。
だが、その呟きと同時に、何かが飛来して来た。
「何だ?」
ヒューッと、風を切る音がする。
その音が徐々に大きくなっていった。
ライラは、その音を聞いた瞬間に剣を抜いていた。
「下がって!」
ライラは叫ぶ。
そして---。
雨のように矢が飛来した。
ライラはその矢を剣でなぎ払い、打ち落としていった。
「女王様!」
使用人がミランの盾になり、倒れていく。
どこから飛んで来るのか分からない恐怖が、使用人たちの冷静な判断を奪っていた。
「ダメだ!全員、港に向かって走れ!」
ライラは来た道を戻ろうとする使用人たちに叫んでいた。
「ですが、前に進む事は……」
「私を信じろ!港へ行け!」
ミランの手を取り、港へ走り出すライラ。
その後ろを使用人たちが顔色を変えながら走っていた。
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