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姿の見えない敵ほど厄介な事は無い。
だが、ライラは飛んでくる矢の方向を見ると、一瞬で敵の場所を特定していた。
「敵は横から私達を囲むように広がっている。ならば、このまま進むしかない」
ライラは転びそうになるミランを支えながら走り続けた。
「なる程……流石はライラ殿か……噂には聞いていたが、素晴らしい判断力だ」
「誰だ?」
凄まじい殺気を放つ男は、ライラの前に姿を現した。
「あなたは神殿騎士ですね」
その姿を見て驚いたのはミランだった。
見慣れた鎧をまとい、神殿騎士が使う神鋼の剣を持っている。
胸の部分には、大地教団の騎士を示す始まりの鐘の紋様が刻まれていた。
「いかにも、我らは神殿騎士。今はシル殿の配下ですがね」
男はそう言いながらミランに向かって剣を構えた。
「神殿騎士がシルの配下などと、笑わせる」
ライラはミランの前で剣を構えた。
隙が見当たらない。
ライラの警戒心が鼓動の高鳴りとなって知らせて来る。
この男は危険だと……。
「ここは私に任せて先を急いで下さい」
ミランにそう言ったライラは、目の前で剣を構える神殿騎士に向かって行った。
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