プロローグ

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枯れ葉色の空に冷たい風が吹いていた。 人の姿は無く、気配も感じられない。 決して人間が住む事が出来ないその大陸を、人々は魔大陸と呼んでいた。 ファーレル大陸で、人々の命運を賭けた戦いが行われていた時、魔族達は興味を持つ事なく静観していた。 あの戦いで人間が負けていれば、間違いなくこの世界は消滅していた筈なのだ。 それでも魔族が動かなかったのは、この世界は終わらないと知っていたからなのかもしれない。 「退屈ね……」 1人の少女が呟く。 腰まで伸ばした薄紫の髪を指に絡ませながら、その少女は呟いている。 年齢は14歳位だろうか。 あどけなさの残る顔立ちに、ヒラヒラとしたドレスに身を包んでいる。 どこか人形のようにも見えるその少女は、丸い目を大きく開けて、窓際から空を眺めていた。 「ホント退屈……」 少女はここで深い溜め息を吐いた。 「ティリシア様。どうされました?」 窓際から外を見ていたティリシアに、男がゆっくりと近付いて来る。 「暇なのよ。あなたもそうでしょ?」 ティリシアは、そう言って男に視線を向けた。
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