1586人が本棚に入れています
本棚に追加
「私は誰にも負けない……」
姿勢を低くして足に力を込めた。
神殿騎士の言う通り、力では勝てない。
だが、その力に対抗するにはどうすればいいのか……。
「簡単な事だ!」
誰かに言う訳では無い。
自分に言い聞かせたライラは、力を込めた足を一気に解放した。
視界が狭まるような感覚がライラを包んでいく。
まばたきする間も無い僅かな一瞬で、ライラは神殿騎士の懐へ飛び込んだ。
「残念だったな。戦い方と言うものは、常に変動する。その中で最善を選択出来る者だけが生き延びる事が出来る」
ライラは剣を強く握っていた。
剣先を神殿騎士に向け、躊躇する事なく飛び込んだ。
そして、確かな手応えを感じた。
「ぐふっ---!?」
何が起きたのかも分からなかったかもしれない。
それ程ライラの動きは早かったのだ。
腹部に突き刺さった剣は、背中を貫いている。
間違いなく致命傷だった。
「お前たち神殿騎士は戦いに慣れていない。それが敗因と知れ」
そう言いながらライラは剣を引き抜く。
騎士は、その衝撃で体を痙攣させた。
「残念だ」
ライラは一言呟くと、ミランと合流するべく走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!